背中に積もった“言えなかったこと”をほどく旅。

気づけば背中がいつも重かった。
疲れのせいだと思っていたけれど、どうやら違ったらしい。背骨の横にふっと触れられた瞬間、まるで“心の引き出し”の奥にしまい込んでいた言葉たちがざわっと動き出した。

言えなかった本音。
飲み込んだままの悔しさ。
強がりと、見栄と、空気を読みすぎた日々のクセ。

それらは全部、体に残るらしい。特に、背中に。

不思議なことに、施術中は“痛い”よりも“ああ、そこにあったんだ”という発見のほうが大きかった。背中って、自分じゃ触れない場所だからこそ、弱さも、無理も、寂しさも一番正直に溜まるんだと思う。

ゆっくりゆっくりほぐれていくうちに、呼吸が深くなった。
深く吸えるようになると、なんだか胸の奥まで明るくなる。

「あぁ、私ずっと頑張ってたんだな」
そんな言葉が、自然と浮かんできた。

背中が軽くなると、不思議と心にも余白ができる。
言えなかったことを無理に言葉にしなくても、体が先に解いてくれる。

これはただの施術じゃなくて、自分に優しく帰っていくための“旅”だった。

背中って、本当にすごい。
ちゃんと生きてきたこと、全部覚えている。

そして、整えてあげると、また前に進めるようになる。

 

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